利益管理について
2026/09/14
9月は「価格交渉促進月間」―中小企業が今こそ見直したい価格設定と利益管理
原材料費、人件費、光熱費など、企業を取り巻くさまざまなコストが上昇しています。
こうした状況の中、「売上は増えているのに利益が残らない」「人件費が上がり、以前と同じ価格では採算が合わない」と感じている中小企業も少なくありません。
毎年3月と9月は、中小企業庁が定める「価格交渉促進月間」です。
今回は、価格転嫁を単なる「値上げ」として考えるのではなく、会社の利益や資金繰りを守るための経営課題として考えてみたいと思います。
中小企業庁が公表した2026年3月の価格交渉促進月間フォローアップ調査では、コスト上昇分に対する価格転嫁率は54.2%となっています。
コスト別では、原材料費55.7%、労務費50.0%、エネルギーコスト48.9%となっており、コスト上昇分のすべてを販売価格に反映できている企業ばかりではありません。
特に人件費については、最低賃金の引上げや人材確保のための賃上げなどにより、今後も企業経営への影響を慎重に見ていく必要があります。
価格改定を検討するとき、最初に考えたいのは「取引先が値上げを認めてくれるだろうか」ということではありません。
まず、自社が現在の価格でどれだけ利益を確保できているのかを把握することが重要です。
例えば、売上高が前年と同じでも、人件費や外注費、仕入価格などが上昇すれば、当然ながら利益率は低下します。
そのため、
・商品・サービスごとの粗利益率
・人件費や外注費の増加額
・固定費の増加額
・必要な営業利益
・今後の資金繰り
などを確認したうえで、「現在の価格を維持した場合」と「価格改定を行った場合」の利益を比較することが有効です。
例えば、年間売上5,000万円の会社で、原材料費や人件費などの年間コストが300万円増加したとします。
単純計算では、売上高に対して約6%のコスト増加です。
もちろん、実際には商品ごとの利益率や取引条件などを考慮する必要がありますが、このように数字で整理することで、「何となく5%値上げする」といった判断ではなく、必要な価格改定幅を検討できるようになります。
また、すべての商品や取引先について一律に値上げする必要があるとは限りません。
採算性の低い商品や取引先を把握し、優先順位をつけて価格交渉を行う方法も考えられます。
利益が出ていても、資金繰りが安定するとは限りません。
人件費や仕入代金などの支払いが先行する一方で、売掛金の回収まで時間がかかる企業では、コスト上昇によって運転資金が増加する場合があります。
そのため価格改定を検討する際には、損益計算書だけを見るのではなく、今後6か月から1年程度の資金繰りについても確認しておくことが重要です。
価格改定は営業上の問題だけではありません。
会計の視点からは商品・サービス別の採算性を把握し、税務の視点からは設備投資や賃上げに利用できる税制を検討し、経営の視点からは価格設定や事業構造そのものを見直すことが重要です。
特に中小企業では、「売上を増やすこと」に意識が向きやすい一方で、「どの売上が利益につながっているのか」という分析が十分に行われていないケースもあります。
価格交渉促進月間を機会に、一度自社の売上・粗利益・固定費・資金繰りを確認してみてはいかがでしょうか。
黒田公認会計士事務所では、公認会計士・税理士・中小企業診断士の専門性を活かし、会計・税務だけでなく、利益改善、資金繰り、価格設定などの経営課題についてもご相談を承っています。
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